断片ログ 3



【脆くて細い】

 それ、外してもらえませんか。
 シャワーも浴びずにそういうことをしようとするのははじめてで、シャツを脱ぎ捨てた彼の胸元、それを見つけて俺は思わず眉をひそめる。
 言わずに済むなら言いたくはないことだった。思ったとおり、豪炎寺さんは意地の悪そうな笑いを浮かべる。わざとそのままにされてしまったらどうしようと不安になったけれど、彼は案外あっさりとそのペンダントを首から外す。さり、と小さな音を立て、それはそっと傍の机の上に置かれた。
「妬いたのか?」
 俺の服に手を差し入れながら、耳元で彼が低く囁く。
「そういうことじゃなくて、……壊しちゃわないか心配で」
 豪炎寺さんは喉の奥で笑ったようだった。言い訳だって思われたんだろうな。たしかに半分は当たっているかもしれないけれど、こんな気持ちはきっと伝わらないと思う。
 はじめる前はまだいいんだ、考える理性が残っているから。だけど彼のせいでどんどんわけがわからなくなって、自分が何をしてしまうかなんて想像もつかない。あの細いチェーンをわざと引きちぎってしまいたくなったり、そんな俺を彼が許さないのがわかっていたり、その両方が、俺は本当に怖いのに。




11.01.25

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